心筋梗塞の原因、発症後経時的病理変化、合併症について 心筋梗塞myocardial infalction(MI)は、局所的虚血によって生じた限局した領域の心筋壊死の発生。 原因: 急性心筋梗塞は、冠状動脈血栓症に起因ことが最も多い。 ←粥状硬化症 血栓が認められなくても、低流量で心内膜下梗塞を導く。 経過 概要 壊死領域は、20〜30分で心内膜下領域より始まる。 時間とともに拡大し、 3〜6時間で最大に達する。(血栓溶解剤は大きさを抑制) 詳細 凝固壊死と炎症 12〜18時間頃までに凝固壊死が明らかになる 壊死した心筋細胞の細胞質の好酸性が増し、黄紋が消失。 核は断片化(核崩壊)or収縮(核濃縮) →好中球がよってくる 好中球浸潤は最初の18〜24時間で明らかになる。 48時間までにはすべてに現れ、5〜6日目にピークその後減少。 肉芽組織の形成、壊死心筋の吸収による除去 マクロファージ、線維芽細胞、毛細血管は4日目ごろに梗塞部辺縁に出現し、 数週間かけて中心部に移動する。 マクロファージは壊死した心筋細胞を貪食し始める。 壊死した心筋細胞の貪食と、肉芽組織の成熟は4週間目の終わりまでつづき 肉芽組織による器質化、繊維性瘢痕の形成 肉芽組織は成熟するにつれて血管が減少し、膠原線維量が増加し、 およそ8週目ころまでに大抵の梗塞は密な瘢痕組織で置換される。 肉眼的には、最初、24時間ほどは変化は見られず、好中球の浸潤により黄色を呈し、肉芽組織の発展とともに赤色になり、線維化で硬く灰色になる。 合併症 心室性不整脈(75〜95%) →冠動脈性突然死につながる 肺浮腫を伴う左心室不全(60%) ポンプ機能が低下し、肺浮腫を導く 心原性ショック(10%) ポンプ機能の低下による末梢性循環不全 自由壁、中隔、乳頭筋の破裂(4〜8%) 肉芽組織化が未熟な場合、もろくなっていて壊れやすくなる。その結果、心室破裂(心嚢血腫→心タンポナーデ)を引き起こす。心室中隔破裂や、乳頭筋の破裂などもおこる。 血栓性塞栓症(15〜49%) 心機能の低下と心内の異常があいまって血栓が出来、左心の場合は全身にいき、塞栓症を引き起こす。